筒井美希『なるほどデザイン』ほか

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今回は、デザインやレイアウトを考える際に参考になる本をご紹介します。
専門的なデザイン業務に限らず、社内資料や学生さんのプレゼン資料、運営サイトなどのデザインをブラッシュアップしたい場合にも役に立つと思います。

筒井美希『なるほどデザイン』

「目で見て楽しめる」をコンセプトに作られているだけあって、どのページを開いても内容がぱっと目に飛び込んでくる、視覚的なわかりやすさが魅力の本です。

編集×デザイン

デザインに正解はない。しかし、初心者向けならすっきりシンプルに、楽しい雰囲気を重視するなら写真のサイズや配置をばらけさせてにぎやかに、など同じテーマでも目的により自ずと方向性は決まってくるもの。

完成されたデザインはどのような過程を経て生まれるのか?「朝ごはんを紹介する雑誌のページ」という具体的事例をもとに、段階的に解説をするチャプター1。デザインを考える際のポイントが非常にわかりやすく書かれています。

デザイナーの7つ道具

商品を紹介するとき強調したいのは、お手頃価格か品質の良さか? 特定の人物や商品にスポットライトを当てたい場合の手法は? 言語(言葉・文章)・非言語(写真・図版)のメリット・デメリットに基づく使い分けは?

様々な観点からデザイン力を問うチャプター2。デザインのコツを7つに分類して紹介しています。同じ写真や文章を使っていても、どこに重点を置くかによって、いくつものパターンが生まれるのが、デザインの大変さであり面白さですね。

デザインの素

チャプター3の内容は、文字と組み、言葉と文章、色、写真、グラフとチャート。細部にかかわる話題が多く取り上げられています。こうした細やかな気遣いひとつで、デザインから受ける印象が大きく変わることがよくわかります。

Power Design inc『配色デザイン インスピレーションブック』

タイトルにあるとおり、直感で選ぶ配色見本帳です。本をぱらぱらとめくって「あっ、そうそう。こんな感じ、こんな感じ!」と、目についた配色をそのまま採用することができます。

配色見本の数はなんと4,199。テーマごとに以下の9つのセクションに分かれています。「カワイイ」に「ゆめかわいい」が含まれるあたり今風ですね。

  1. 季節・年中行事(春夏秋冬、ハロウィン、クリスマスなど)
  2. テーマカラー(ピンク、ブルー、モノトーンなど)
  3. カワイイ・きれい(ゆめかわいい、ウェディング、フェミニンなど)
  4. かっこいい・スタイリッシュ(ビジネス、近未来、都会的など)
  5. 高級・優雅(ドレッシー、セクシー、ヨーロピアンなど)
  6. 爽やか・清々しい(エコ、ビタミンカラー、若者たちなど)
  7. ほのぼの・安らぎ(ネイチャー、ファミリー、ハンドメイドなど)
  8. ドキドキ・ワクワク(キッズ、アウトドア、パーティーなど)
  9. 和・レトロ(和風、大正ロマン、アンティークなど)

加えて、写真やイラストが豊富なため、イメージの連想がしやすいです。仕事でデザインやファッションに携わる方から、趣味で手芸やぬり絵などをされる方まで、幅広く活用することができると思います。

※ちなみに続編も発売中。シリーズ第2弾は、グローバル、ナチュラルといった定番から、ネオレトロ、プチリッチ、魔王、お宝といったピンポイントのイメージまで、相変わらず個性的なラインナップです。また第3弾は、レッド・オレンジ・イエロー・グリーン・ブルー・パープル・ピンク・ベージュ&ブラウン・モノトーン・メタルの10色をテーマにしており、「カラー縛り」で配色を考えるときに便利な内容となっています。

私などは、自分の好みだけで選ぶと淡い色中心になりがちなので、メリハリのある配色をしたいときに本書を参考にしています。このサイトのデザインセンスが良ければ、本を読んだ効果の説得力が増すところなのですが、力及ばず……。

(追記)誤解のないよう念のために補足しておきますと、当サイトのアイキャッチ画像などのうち、私が一から作成したものはごく一部です。多くは、CanvaPixabayイラストACなどの素材サイトの作品を使用させていただいています。

『実例付きフォント字典』

2018年に改訂版が発売されました。モリサワ、ヒラギノフォント、タイプバンクほか、国内26社・2500種弱のフォントを収録しています。

単にフォントを列挙するのではなく、実際の広告や装丁などとあわせて紹介しているため、使用イメージがわきやすいのが特長です。どの事例も考え抜いた末にフォントを選んでいることを実感できます。

同じフォントであっても、字と字の間隔を広げたり太字にしたり色を変えたりと、少し手を加えるだけで違った表情を見せてくれるのが、なんとも奥深い。

『なるほどデザイン』にも、フォントや色を擬人化してイメージをふくらませると、より生き生きしたデザインになるとありました。たとえば、丸っこいフォントは子どものイメージ、明朝体は上品なイメージというように。文字を見たときに、こうした人物像が浮かぶのはよくあることですが、あらためて考えてみると不思議です。そういう人間の感覚に対する訴求力もまた、デザインの持つ力のひとつなんでしょうね。

おわりに

ご紹介した本は、内容面で参考になるだけでなく、ビジュアル面でも優れたものです。そのため、写真集のような感覚で眺めても楽しいと思います。
いろいろなアイデアの取っ掛かりとして読まれてみてはいかがでしょう。