いったい何から書き始めたらよいのか──原稿用紙やパソコンの画面を前にただ固まるばかり。今回紹介するのは、そんな状況に陥りがちな人にとってのお役立ち本です。
イントロダクション
入社1年目の岩森くん。取引先に宛てたメールの内容に関してクレームが入り、上司に叱られてしまいました。見かねた先輩に向後先生を紹介してもらい、相手に「伝わる文章」の書き方について教わります。
内容紹介と感想
信頼関係の構築、論理的思考や話の組み立てにも役に立つ。「伝わる文章」の大切さが、この1冊を通してよくわかります。
自分の文章の問題点はどこ?
本書には「自分の文章の“ダメどころ”」チェックリストが載っています。たとえば、「書く以前に、何を書けばいいのか頭が真っ白になる」「全体的に何が言いたいのかよくわからない文章になってしまう」など。
私などは現在も当てはまる項目が大多数です。学校の宿題で「ここの『でも』を『しかし』にしたら、1文字増えて次の行にいけるなあ」などと、文章が浮かばず姑息な手段で原稿用紙の余白を埋めていたのを思い出し、ため息がもれます。
そんな調子でしたから、いまだに文章をすらすらと書くことができません。しかしこの本を読んだことで、少なくとも文章を書くことに対する苦手意識は緩和されました。
実用文を書くということ
友人・知人に向けたSNSなどの短いコメントと、まとまった長さのある文章は方向性が異なるものです。内輪向けの文章というのは、前提条件となる情報が共有できていますから、言葉を省略しても話が通じます。
しかし本書で学ぶのは、それぞれの対象に合わせて、わかりやすさに重きを置いて書く「実用文」についてです。社会において必要な、シンプルで論理的な文章を目指します。
まずは200字から
最初は200字程度の文章パターンを見ていきます。文章が書くのが苦手な方でも「それくらいなら何とかなる」と思えそうな、ちょうどいい長さですね。
提案・報告・勧誘・お願いの4種類の実例において、200字の中に収めるべきポイントを確認します。
応用で1000字だって書ける
200字というのは、1段落の文章量に相当します。200字書けるようになったら、それを5つ組み合わせて1000字の文章も書けてしまうというわけです。
小説ではなく実用文ですので、何よりわかりやすくなくてはいけません。そのため、「型」と「流れ」が重視されます。この「型」と「流れ」さえ把握してしまえば、たいていの文書で応用が利きますので、書き出しで悩むといった問題から解放されます。
本書で扱われている型は以下の7種類。
- 企画書・提案書
- 報告書・連絡文・謝罪文
- 勧誘文・依頼文
- レポート
- 紹介文・推薦文
- ブログ・エッセイ・日記
- 自己PR文・エントリーシート
どの型も例文つきで解説されており、内容が具体的なため、書くコツをつかみやすいです。
おわりに
「自分の文章の“ダメどころ”」を改善できているかというと、まだまだではあります。
しかしそこは練習、実践の積み重ね。文章を書くことに対して自ら上げていた心理的ハードルを下げることができたのが、本書を読んで一番良かった点であると思います。
200字からの実用文、みなさんも書いてみませんか?