地下要塞をめぐる冒険『Creaks(クリークス)』

『Creaks』は、『Machinarium(マシナリウム)』『Samorost(サモロスト)』などで知られるAmanita Design(アマニタデザイン)の最新作。美麗な手描きビジュアルと音楽を楽しめるパズルアドベンチャーゲームです。

なお、タイトルにもなっているcreakは「(ドアや床板等が)キーキー鳴る音、きしる音」といった意味の単語です。

あらすじ

ある夜、自室で読書をしていたときのこと。どこからか大きなきしみ音が響いてきたかと思うと、振動の影響で壁紙がはがれてしまった。その下を見ると、なんと穴が空いているではないか。しかも、奥にはさらに巨大な空間が存在するようだ。

トラブルにより部屋に戻ることができなくなった僕は、眼下に広がる建物へ向かうことにした。地底世界でいったい何が起きているのだろう?

内容紹介と感想

パズル・アクション要素

光と影のパズル

光を使ったギミックが面白いゲームです。

敵キャラクターたちは強い光を苦手としています。不意打ちで光を浴びせるとチェストやポールハンガー等の家具に変身する、というアイデアがまたいいですね。

この性質を利用して、敵を足止めしたり、うまく誘導してスイッチを押させたり、台代わりにして高い場所に登ったり……。頭と体を使いつつ、建物内を下へ下へと進んでいきます。

Creaks – Launch Trailer

ただ、最初のうちは番犬ロボットばかり相手にすることになるので、パズルが実際よりも単調な印象になっているのが少々惜しいところ。もっと早い段階から多様なキャラクターが出ていれば、ゲーム性の面でより楽しめたのではないかと思います。

その他の敵は、規則的に浮遊する電気クラゲ、主人公の動きを真似する人型のキャラクター(主人公と同じ向きに進むタイプと逆方向に進むタイプがいます)など。私は後者を使った謎解きが気に入っています。

簡単すぎず難しすぎず、全体的にほどほどの難度です。試行錯誤を重ねれば、きっと光明が見えてくるでしょう。

操作性

本作ではコントローラーの使用が推奨されています。
私はコントローラーなし(iPad)でクリアしたのですが、序盤に操作ミスを連発。結果、正解ルートはわかっているのに、無駄にゲームオーバーを繰り返すはめに。単に私がどんくさいだけかもしれませんが、やはりコントローラーを使った方がストレスフリーでプレイできると思います。

また、美しい背景美術を堪能するなら、PC等の大画面でのプレイがおすすめです。

ストーリー面

未知との遭遇

主人公は普通の人間ですので、『Machinarium』のロボット君などとは違い、一挙一動に面白味があるわけではありません。しかし、プレイしているうちに愛着がわいてきます。大人しそうな見た目に反して意外と度胸があるらしく、未知の世界をひたすら前進していくのがすごい。

プレイ開始後ほどなくして、これから突入する建物の全貌が明らかになります。要塞のごとく巨大で堅固な建造物であり、それ自体が動物のような形をしているようです。

もうこの時点でワクワクが止まりません。ジュール・ヴェルヌ作『地底旅行』などにも見られるように、地底世界を探検するというのは、昔から人々のロマンを掻き立てるものですよね。

衣裳部屋、時計台、鉱物展示室、植物園、体育倉庫……部屋のつくりは、いずれも非常に凝っています。古代エジプトの壁画のような絵が描かれているかと思えば、西洋風の甲冑が飾られていたり、ステンドグラスの窓がついた礼拝堂を思わせる空間があったりするなど、独自の歴史・宗教・文化の存在がうかがえ、考察のしがいがありそうです。

背景をよく見ていると、おもちゃや胸像の目が動いていたりするのも芸が細かいですね。また、番犬ロボットや怪物、光を使った装置等の研究資料も確認できます。

終盤、隠しエレベーターで一気に上へと向かうシーンでは、通り過ぎる部屋の数々からこれまでのことが思い出され、感慨深いものがありました。

不思議な地底人たち

アニメ『ピングー』等をイメージしていただければわかりやすいかと思いますが、作中では一般的な言語は使用されていません。しかしながら、物語の展開や登場人物の身振り手振りから「こういう会話をしているんだろうな」という大まかな予想はつくようになっています。

ある程度下の階層まで来ると、「鳥人間」とでも呼べそうな住人(avian folk)が登場。青い髪の発明家風のキャラクターのみ女性ですかね。最終的に、主人公は彼らと力を合わせて怪物を倒すことになります。

建物の広さに対して住人が少なすぎる印象を受けますが、過去に何か事件でもあったのでしょうか。最深部にある、半ば水に浸かった墓地では、遺骨が多数見られるのですが。怪物にやられたのか、内紛が起きたのか、流行り病などで人口が減少したのか、あるいは他の一族はよそへ引っ越してしまったのか。

また終盤、この物語の発端ともいえる怪物の正体が判明しますが、どうしてあのような姿になってしまったのか、という点は謎です。

それから、大きな星図や世界地図が飾ってあるのも不思議ですね。例えば『Undertale』のモンスターのように、人間に地下に追いやられた経緯があるとか……。

このように、いろいろと想像が膨らむのも、本作の魅力のひとつですね。

おわりに

主人公が自室に戻ってくると、外はもうすっかり明るくなっていました。一晩かけて大冒険をしたのがまるで嘘のようです。
それでも、風変わりで素晴らしい隣人が壁の裏側に住んでいるという事実は揺るぎません。なんて素敵なことなのでしょう。

秀逸なパズルと友情の物語を楽しめる、雰囲気のよい良作でした。