H・M・エンツェンスベルガー『数の悪魔』

今回ご紹介する本は、『数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜』。いばりん坊だけれど、どこか憎めないキャラクター「数の悪魔」が不思議な数の世界を案内してくれます。

あらすじ

ある夜、ロバートの夢の中に小さな老紳士が現れました。「数の悪魔」だという彼は、数の不思議と魅力について語り始めます。
このようにして、やや強引に始まった数の悪魔によるレッスン。算数ぎらいのロバートは、夢の中でまで勉強なんてうんざり!と思っていたのですが……。

内容紹介と感想

数の不思議

夢のレッスンは、すべての数字のベースとなる1と0の話から始まります。数の悪魔が学校の先生と違うのは、電卓を使ってもOKというところ。みなさんもいっしょに計算してみましょう。

11×11、111×111、1111×1111、11111×11111、…。さあ、どうなりましたか。とても面白い計算結果が出たのではないでしょうか。こんな調子で、数の悪魔はさまざまな数の世界のひみつを12夜にわたって教えてくれます。

電卓で計算する、図を描く、ヤシの実(は無理なので代わりにビー玉などでよいでしょう)で三角形をつくる。ロバートのまねをして実際に手を動かしてみると、たくさんのことが前よりもずっとよくわかるようになります。

広がる世界

本書の対象年齢は「10歳からみんな」。かわいらしいイラストがいっぱいで、とても楽しい本です。

しかし侮るなかれ。子ども向けに書かれてはいますが、決して子どもだましではありません。素数に虚数、平方根、順列と組み合わせ、フィボナッチ数列、パスカルの三角形などなど、数学の話題を幅広く扱っているのです。

ただし本書では、わかりやすさを重視して「5の階乗」であれば「5のびっくり」といった具合に表現が変えられています。もっと数学についていろいろ知りたいと思ったら、本の最後に掲載されている「言葉のリスト」をチェックしましょう。そこで正式名称が確認できるので、ほかの本で調べものをしたり、先生に質問をしたりするときなどに役に立ちます。

魔法使いの弟子として

数の世界に遊ぶうち、ロバートと数の悪魔は昔からの友達のような間柄になっていきました。そして最後の夜、二人はそろって「数の天国/数の地獄」の大晩餐会に出席します。たくさんのことを学んで成長したロバートは、数の悪魔テプロタクスルの弟子として正式に認められたのです。しかし、それはテプロタクスルとの別れも意味しており……。

この調子で続ければ、ロバートも数の悪魔のように魔法を使えるようになるんですって。うらやましいですよね。
でも、ロバートといっしょにテプロタクスルのレッスンを受けてきた私たち読者だって、「魔法使いの弟子」と言えるかもしれませんよ。だから、もしかすると……?

もちろん大事なのは続けること。数の面白さと考え方のコツは数の悪魔が教えてくれました。あとは自分次第です。