『ボス・ベイビー』

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『ボス・ベイビー』(原題:The Boss Baby)は、2017年公開の映画。製作は、『シュレック』『カンフー・パンダ』などで知られるドリームワークス・アニメーションです。ユーモラスな描写を通して、弟が生まれたことによる兄のとまどいと、家族の絆の深さに触れています。

あらすじ

想像力豊かな少年ティムは、両親からの愛情を一身に受け、幸せに暮らしていた。しかし、突然タクシーに乗って現れたスーツ姿の「弟」によって平和な生活が乱されてしまう。家庭の中心に居座り、パパ・ママの関心を独り占めする赤ちゃん──その様子はまさにボス。

そしてある夜、ティムは、ボス・ベイビーがひそかに電話で業務連絡をしているところを目撃してしまい……!?

内容紹介と感想

以前紹介した『インサイド・ヘッド』は、引っ越しに伴う子どもの不安や成長を描いていましたが、本作は弟の誕生が大きなポイントとなっています。

中間管理職ボス・ベイビー

工場の生産ラインに乗って生まれたボス・ベイビー。ベイビー株式会社の経営部門に配属されています。赤ちゃんの姿のまま変わらないのは、特殊なミルクを飲んでいるからなんだとか。

「見た目は赤ちゃん、頭脳はおじさん」なので、かわいいだけでなく、渋さと哀愁をまとっています。眉根を寄せたニヒルな表情がまた絶妙なのです。

ボス・ベイビーの極秘任務

ティムが赤ちゃん会議を盗み聞きしたところによると、赤ちゃんビジネスの懸念材料は、子犬に愛情を奪われるかもしれないということでした。

ボス・ベイビーの任務は、ラスベガスで新しく発表される子犬の調査。ティムの両親はペット関連の会社に勤めているため、スパイにやってきていたのです。任務が終わればボス・ベイビーは会社に戻ると聞き、さっさと彼に出て行ってほしいティムは協力を申し出ます。

ティムとボス・ベイビーの冒険

両親を追いかけて空港に向かう場面など、見ていて妙にハラハラしました。追手の変なメリー・ポピンズもどきをはじめ、絵面はそれほど怖くない、というか笑えるシーンの方が多いくらいなのですが。中身が大人とはいえ、やはり赤ちゃんと7歳の男の子のコンビだからでしょうか。

冒頭からティムの空想の世界は華やかに演出されており、ボス・ベイビーとの関係や冒険も実体験を誇張したイメージなのかなと思っていました。

ところが、後半ラスベガスに行くあたりまで来ると、さすがに想像力だけでは説明がつかないのでは?と感じることに。語り手は大人になったティムなので、年を重ねて得た知識をもとに話を膨らませたとも取れるかもしれませんが、はてさて……。

愛すること、愛されること

お仕事参観に連れて行ってもらうために兄弟仲の良いふりをするなど、最初は必要に迫られてでしたが、一緒に過ごすうちに互いにかけがえのない相棒となったティムとボス・ベイビー。

愛情を独占したがっていたティムが、愛情を分け与えることの大切さに気づきます。仕事人間だったボス・ベイビーは、家族の温もりを知ります。

そして迎える終盤。社内を駆け抜けていくボス・ベイビーの姿にぐっと来ました。

吹替版について

日本語吹替は劇場公開版(主演:ムロツヨシ氏)と機内上映版(主演:チョー氏)があり、DVD等には両方のバージョンが収録されています。私が見たのは後者のバージョンです。

ちなみに『フィニアスとファーブ』のドゥーフェンシュマーツ博士役の吹替声優さんも出演されていました。知能の高い弟の行動を親に言いつけようとする、というあたりで『フィニアスとファーブ』を連想していたものですから、少しびっくりです。狙っているんでしょうか、このキャスティング。

原作・TVシリーズ・続編

原作は、マーラ・フレイジーの絵本『あかちゃん社長がやってきた』です。

映画関連の展開としては、Netflix等でスピンオフ『ボス・ベイビー:ビジネスは赤ちゃんにおまかせ!』(原題:The Boss Baby: Back in Business/Eテレでの番組名:『アニメ ボス・ベイビー』)が放送されています。こちらは劇場版とも機内上映版とも吹替声優が異なります(主演:安原義人氏)。

また、2021年に続編『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』(原題: The Boss Baby: Family Business)が公開されました。1作目に続き、ユーモアたっぷりに深い家族愛を描いており、非常に満足のいく出来に仕上がっています。

『ファミリー・ミッション』では、ティムの次女ティナが「ボス・レディ」として登場。彼女は、仕事人間のボス・ベイビーと比べると、ワーク・ライフ・バランス重視の今どきの若者なのが特徴です。

おわりに

本作を見終わったときの感想は「いい話だったなあ」です。内容に関してはいろいろなとらえ方ができるかもしれませんが、その感想は変わりません。大人も子どもも楽しめる良作です。