『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』ほか

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今回ご紹介するのは、モンスターやおばけの日常を描いた愉快な映画作品です。

『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』

あらすじ

「ハロウィン・タウン」の人気者、カボチャ大王のジャックのおかげで今年のハロウィンも大成功。しかし、当のジャックは代わり映えしないイベントの繰り返しに虚しさを感じていました。

そんな折、ジャックが偶然たどり着いたのが「クリスマス・タウン」。そこは新鮮な驚きに満ちた場所でした。感激したジャックは、「サンディ・クローズ」(サンタクロースの間違い)をまねて自分でもクリスマスを企画してみたいと考えるのですが……。

感想

原案・原作はティム・バートン、監督は『コララインとボタンの魔女』などでも知られるヘンリー・セリックです。

ジャックは楽しいクリスマスを目指して一生懸命ではあるのですが、その行動は空回り気味。それでも最後には、本当に大切なものの存在に気づくことができました。

孤独を抱える異形の者やアウトサイダーに向けられる深い愛は、バートン作品の根幹をなしています。

強烈な個性を持ったハロウィン・タウンの住人に、ぐるぐるした崖などに代表される少し歪なデザイン。キャラクターも背景も不気味でありながらどこかユーモラスで、魅力的な世界に夢中になってしまいます。

本作が現在に至るまで多くのファンを魅了し、次世代のクリエイターに影響を及ぼしてきたのも納得がいきますね。歴史に残る傑作ストップモーションアニメのひとつと言ってよいでしょう。

『ティム・バートンのコープスブライド』

あらすじ

舞台は19世紀のヨーロッパ。とある村に、名家の身分がほしい成金のバン・ドート夫妻と、お金がほしい没落貴族のエバーグロット夫妻がおりました。

利害関係の一致により、両家は子ども同士を結婚させることにします。政略結婚ではあるものの、新郎ビクターと新婦ビクトリアは互いに好感を抱きました。

ところが、式の練習中に誤ってコープスブライド(死体の花嫁)の指に指輪をはめてしまったビクターが、死者の世界へ連れ去られることに……。

感想

生者の世界が陰鬱であるのと対照的に、死者の世界が自由で明るいものとして描かれている点がユニークな作品。

内容面での不満はありませんが、キャラクターの動きがなめらかすぎて、CGっぽく見えてしまって……もっとストップモーションらしさがほしいというか。映像のクオリティが高いのに、そこ物足りなさを感じるというのも贅沢な話ですが。

なお、ビクター役のジョニー・デップと牧師役のクリストファー・リーは、同監督作品『チャーリーとチョコレート工場』でも、ウィリー・ウォンカとその父親の役で共演していましたね。こちらもブラックユーモアあふれる面白い映画です。

『モンスターズ・インク』シリーズ

『モンスターズ・インク』

あらすじ

舞台は、人間の子どもの悲鳴をエネルギー源とするモンスターワールド。インフラ企業「モンスターズ・インク」では、子どもとの相性を考慮してモンスターを人間界に送り込み、エネルギーを収集していました。

成績トップの「怖がらせ屋」サリーと相棒マイクも、毎日はりきって仕事に取り組んでいます。

しかし、人間をおどかす一方で、モンスターたちは彼らを危険であると思い込み、恐れていました。そして、サリーが人間の女の子ブーを社内で発見したことから、大事件が起こり……。

感想

心地よい余韻を残す素敵な映画です。

見た目はいかめしいけれど性格は温厚で人気者のサリーに、お調子者の親友マイク。ブーとの交流を通じて人間は危険ではないと知った彼らは、彼女を無事人間界に帰すべく奮闘します。

それにしても、インフラ企業としてのモンスターズ・インクの設定は秀逸ですね。世界中の子ども部屋につながっているドアがずらりと並ぶシーンは圧巻の一言。

本作にはサリーとマイク以外にも多数のモンスターが登場しますが、私のお気に入りはマイクの恋人セリア。フロアアナウンスを上手に利用してマイクをフォローする姿がかっこいいのです。

『モンスターズ・ユニバーシティ』『モンスターズ・ワーク』

『モンスターズ・インク』の前日譚にあたる『モンスターズ・ユニバーシティ』では、サリーとマイクの意外な一面が見られ、こちらもおすすめ。

現在はサリーを敵視しているランドールが、昔は愛想のよいタイプだったのにもびっくりします。つぶらな瞳をしたメガネ姿の彼は一見の価値あり。あの目つきの悪さは近眼のせいだったんですね。

また、2021年にはDisney+(ディズニーの動画配信サービス)で『モンスターズ・ワーク』が配信されました。こちらはサリーが経営者になってからの後日談です。

『モンスター・ホテル』

あらすじ

過保護なドラキュラ伯爵は、愛娘メイヴィスを人間のいない安全な場所で育てようと決意しました。こうしてできたのが、モンスターのためのリゾートホテル「ホテル・トランシルバニア」です。

時は流れてメイヴィス118歳の誕生日。偶然迷い込んできたバックパッカーの人間の若者ジョニーに動揺するドラキュラ。ひとまずジョニーを変装させ、頃合いを見て追い出そうと考えます。

ところが、陽気なジョニーはパーティーを大いに盛り上げ、すっかりモンスターたちの注目の的。そのうえ、メイヴィスともいい雰囲気に……?

感想

誕生日のお祝いに集まったモンスターは、ミイラ男にフランケンシュタイン、狼男、透明人間などなど。どのシーンを切り取ってもにぎやかで楽しい本作は、肩の力を抜いて観られるタイプのアニメです。

ただ、キャラクターデザインについては、映画版の3Dよりもテレビ版『モンスター・ホテル ザ・シリーズ』の2Dの方が個人的には好みかも。

ちなみに、本作の原題は「Hotel Transylvania」。邦題の「モンスター・ホテル」は作品の内容をイメージしやすいのはよいのですが、柏葉幸子作「モンスター・ホテルシリーズ」と少々まぎらわしいのでは?とも思ったりします。

『アダムス・ファミリー』

原作はチャールズ・アダムスの漫画。さまざまなメディア展開がされていますが、その中でも特に知名度が高いのは1990年代の実写映画でしょう。

『アダムス・ファミリー』(1991年)

当初のメンバーは、当主のゴメズ、妻モーティシアとその母グラニー(魔女の家系)、夫妻の子どもウェンズデー(姉)とパグズリー(弟)、執事の大男ラーチ(フランケンシュタインの怪物似)、そしてハンド(手のみで生きている存在)。

彼らのもとに、行方不明になっていたゴメズの兄フェスターを名乗る男が現れ、一家の資産が狙われる、というのが本作のストーリー。

私は、大人になってからようやく本作をコメディとして認識できるようになりました。子どもの頃はファミリーの外見が怖くて仕方なかったのですが、今では「献身的で働き者のハンドくんって萌えキャラなのでは?」とさえ思っています。

また、一家の住まいである洋館はゴシック風でまとめられており、この手のデザインが好みなら背景を眺めているだけでもたまりません。ファッションも黒を基調としていますが、作中で複数の衣装を披露しているゴメズは、どれもおしゃれに着こなしていますね。

『アダムス・ファミリー2』(1993年)

次男ピューバート誕生後のお話。ベビーシッターとしてやって来たデビーとフェスターの結婚をめぐる一連の騒動と、ウェンズデーとパグズリーのサマーキャンプでの様子を並行して描いています。

本作では、ディズニー作品を警戒する子どもたちの姿にくすりとさせられました。陽気でさわやかなものが好きな人もいれば、そうじゃない人もいるわけです。前者が正しくて後者が間違い、なんてことありません。

ウェンズデーの毒舌ぶりも健在……というか、さらにパワーアップしているかも?

弁護士の妻であったマーガレットが、2ではすっかり一家になじんでいるのも笑えます。アダムス・ファミリーって、何だかんだ楽しく幸せに暮らしてますもんね。このシリーズを見ていると、「普通じゃなくても別にいいじゃないか」と、自分の人とは違うところも肯定的にとらえられるようになる気がします。

アニメ・ドラマ

2019年のアニメ映画『アダムス・ファミリー』とその続編『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』はまだ記憶に新しいですね。

さらに、2022年よりNetflixシリーズ『ウェンズデー』の配信が始まりました。監督はティム・バートンで、学園生活を送るウェンズデーを主人公にしたミステリードラマです。

ウェンズデー | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
頭脳明晰(めいせき)で皮肉屋、そしていつも暗い面持ちのウェン...

おわりに

人間視点では風変わりな生活をしているように見えるモンスターたち。しかし、彼らにとってはそれが当たり前。そして、どの作品もみな楽しそうです。

せっかくのハロウィンシーズン、あなたもモンスターワールドの日常をのぞいてみませんか?