近現代文学

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ディケンズ『クリスマス・キャロル』、島崎藤村『三人の訪問者』

今回ご紹介するのは、チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』および島崎藤村の『三人の訪問者』。この二作の共通点は、三人の来客があることと、それに伴い主人公の価値観が変わっていくこと。前者では過去・現在・未来の幽霊が、後者では「冬」...
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尾崎翠『地下室アントンの一夜』『歩行』

今回は、『ちくま日本文学004 尾崎翠』より、連作短編『地下室アントンの一夜』および『歩行』をご紹介します。 作者と作風について 私が尾崎翠の存在を知ったのは、比較的最近のことでした。きっかけは『KYOTO本屋さん紀行』に掲載...
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芥川龍之介『枯野抄』

冷え込む朝が増えたり、枯れ葉が落ちるのを目にしたり、秋から冬へ季節の移り変わりを感じる今日この頃。今回は、俳聖・松尾芭蕉の最期を看取る弟子たちの内面描写が秀逸な『枯野抄』を紹介します。 芭蕉と門下生 時は元禄7年10月...
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萩原朔太郎『猫町』

あらすじ 読者にしてもし、私の不思議な物語からして、事物と現象の背後に隠れているところの、或る第四次元の世界──景色の裏側の実在性──を仮想し得るとせば、この物語の一切は真実レアールである。だが諸君にして、もしそれを仮想し得ないとす...
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菊池寛『無名作家の日記』ほか

『恩讐の彼方に』『父帰る』などで知られる菊池寛。今回はややマイナーな短編小説を、『無名作家の日記 他九篇』(岩波文庫)の収録作品の中から紹介します。 『無名作家の日記』 芥川龍之介や久米正雄(ともに菊池寛とは同級生)...
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井伏鱒二『ジョン万次郎漂流記』、福沢諭吉『福翁自伝』

井伏鱒二『ジョン万次郎漂流記』―幕末を生きた漁師の数奇な人生 『ジョン万次郎漂流記』は第6回直木賞受賞作品。土佐の漁師、万次郎の波乱万丈の人生を描いています。 あらすじ 万次郎が十代のころ、彼と四人の漁師仲間は嵐に遭い、...
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加藤道夫『なよたけ』

『なよたけ』(1946年)は、劇作家・加藤道夫が手掛けた戯曲。題材は、物語文学の元祖とされる竹取物語です。 比較的最近の作品である、高畑勲監督の『かぐや姫の物語』は、脚色を加えながらも大筋は竹取物語に沿っていました。しかし『なよたけ...
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ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』

『ねじの回転』が発表されたのは19世紀末。ゴシック小説のような、耽美な雰囲気を醸し出す幽霊譚です。精緻な心理描写が秀逸な、心理小説の名作として知られています。 訳者である小川高義氏のあとがきによりますと、「〈ねじの回転〉には人を苦し...
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中島敦『悟浄出世』『悟浄歎異』

『山月記』や『李陵』などで知られる中島敦が独自の視点で描く西遊記。 あらすじ 「もうだめだ。俺は」 自分とは何か? 悲観主義のインテリ悟浄は、思い悩んだ末にいろいろな賢人を訪ねて歩くことにした。(悟浄出世) 休憩中の三蔵...
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ボルヘス『バベルの図書館』『砂の本』

アルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘス。その生涯の長きにわたり図書館勤めをしていた彼は、ウンベルト・エーコ作『薔薇の名前』に登場する図書館長のモデルにもなっています。 今回は、その作品の中から『バベルの図書館』と『砂の本』の2つ...
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芥川龍之介『黄粱夢』

芥川龍之介の『黄粱夢(こうりょうむ)』は、『杜子春』同様に換骨奪胎型の掌編。中国・唐代の伝奇小説『枕中記(ちんちゅうき)』を題材とし、そのエピローグ部分のみを取り上げた、とても短い作品です。 主人公は、立身出世の願望を持っている...
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プリーストリー『夜の来訪者』

『夜の来訪者』(原題:AN INSPECTOR CALLS)は、イギリスの劇作家プリーストリーの作品です。戯曲であり、本の内容も台詞とト書きによる脚本形式となっています。 ちなみに、近年BBCでドラマ化もされました。ドラマ...